食育支援

お口の機能で、食べるチカラ・しゃべるチカラを育てる

子どもの口は、乳児期の母乳やミルクで「吸う力」が、歯が生え始め離乳食を食べるようになると「口を使う力」が培われていきます。
小さな頃から口の使い方をしっかりと身につけることで、今後の生活で欠かせない、「食べるチカラ」「しゃべるチカラ」へと繋がっていくのです。
乳歯は妊娠7周目頃の胎児期から形成が始まり、生後半年はまだ歯茎の中にあって見える状態ではありませんが、離乳食を始めた頃から、少しずつ小さな歯が出てきます。
離乳食が始まる前の赤ちゃんの口腔内は小さく、歯や顎も未発達です。「噛む」という行為を繰り返す中で、口周りの筋肉と骨が鍛えられていき、成長するにつれ、口腔内の容積も大きくなり、口や舌を自由に動かせるようになります。
離乳食は「食育」の第一歩目であり、子どもの今後の成長において、いろいろな面で大きな影響を与えていきます。
赤ちゃん

離乳食について

離乳食の基本

基本はうす味
脂肪の少ない食品を選ぶ
タンパク質は少しずつ
衛生面には細心の注意を!

赤ちゃんの口腔環境と離乳食の関係

  • ゴックン期(5か月から6か月)

    【歯とお口の発育】
    「乳児嚥下」が終わり、喉を閉じてゴックンと飲み込む、「成人嚥下」を覚えます。また、口に入ってきたものをこの後どう処理する(飲み込む、押しつぶす、咀嚼)のかを判断する能力を得ます。
    【離乳食の形状】
    なめらかにすりつぶしたおかゆのようなもの。ポタージュやヨーグルト状のもの。
    【離乳食の量・頻度】
    開始1ヶ月は1日1回、慣れてきたら1日2回
  • モグモグ期(7か月から8か月)

    【歯とお口の発育】
    舌が上下運動できるようになり、下の前歯が生え始めます。また、上顎と下顎が合わさるようになってきます。舌と上顎で「潰す」という動きを覚えていきます。
    【離乳食の形状】
    絹ごし豆腐のような、舌で潰せるような固さのもの。
    【離乳食の量・頻度】
    1日2回で食事のリズムを整えていきましょう。いろいろな舌触りや味を楽しめるように、とろみをつけたりして、食品の種類を徐々に増やしていきましょう。
  • カミカミ期(9か月から11か月)

    【歯とお口の発育】
    歯茎ですり潰す「咀嚼」の機能が獲得されていきます。また、手づかみで食べさせ、前歯でかじり取ることや、自分の一口の量も覚えさせていきましょう。自分で食べさせることで、食事への興味や五感の発達にも繋がります。
    【離乳食の形状】
    完熟バナナのような、歯茎で潰せる固さのもの。様子を見つつ青魚や、鶏肉が問題なければ牛肉、豚肉、全卵も。海藻や少量の油も使用して大丈夫です。
    【離乳食の量・頻度】
    1日3回で、全部合わせて赤ちゃん茶碗1杯ぶんぐらいの量。
  • パクパク期(12か月から18か月)

    【歯とお口の発育】
    前歯が8本生え揃ってきます。奥歯の歯茎が盛り上がってきて、奥の歯茎で食べ物を潰すことができるようになります。また、一口の量を覚えたり、手づかみで食べるのが上手になってきます。フォークやスプーンの使った食べる動きを覚えさせていきましょう。
    【離乳食の形状】
    完熟バナナのような、歯茎で噛み潰せる固さのもの。
    【離乳食の量・頻度】
    生活のリズムの中に取り入れつつ、1日3回食事を与えましょう。

子どもの時からきちんと歯のケアを

赤ちゃんの歯が虫歯になる原因

「離乳食の基本」として、4つの項目をご紹介しましたが、子どもの歯を守る上で重要なのが、衛生面には細心の注意を!という項目です。
赤ちゃんの歯は大人に比べると、歯を保護する役割を持つ「エナメル質」が弱く柔らかいため、虫歯になりやすいのが特徴です。生まれたばかりの赤ちゃんは虫歯の原因になる菌を持っていませんが、赤ちゃんのお世話をするご家族の方から感染することがあると言われています。あまり神経質になりすぎてもいけませんが、「口移しをしないこと」や、「赤ちゃんの使うスプーンやコップを分けること」が大切です。また、ご家族の方全員がしっかりと自分の歯のケアに取り組むことで、赤ちゃんに虫歯菌が移ることが防げます。
「どうせ乳歯だからいつか抜ける」と思ってケアを怠っていると、赤ちゃんでも虫歯や歯肉炎になる可能性があります。子どものうちからきちんと歯を清潔に保つ習慣をつけておくといいでしょう。

歯磨き習慣はお母さんとお父さんから

乳児期の歯のお手入れは、「授乳の後にガーゼで歯茎を拭くこと」から始めると良いとされていますが、実際問題、赤ちゃんの欲しがるタイミングで母乳を与えることがほとんどですので、現実的には難しいでしょう。なので、1歳頃に上と下の歯が4本ずつ生えてきたら、歯ブラシを使って、歯とお口をきれいにする習慣を始められるといいのではないかと思います。
この時使う歯磨きも、握る柄の部分がリング状だったり、おしゃぶり型だったり、赤ちゃんが安全で使えるものを選びましょう。赤ちゃんが自分で歯ブラシを使って遊んだら、仕上げにお母さんかお父さんが仕上げ磨きをしてあげましょう。
歯磨き

寝かせながらの仕上げ磨きで気をつけること

  • いきなり口の中に歯ブラシを入れると赤ちゃんがびっくりします。頬や口の近くをやさしく触りながら、スキンシップを図ることから始めましょう。
  • 赤ちゃんの「上唇小帯」(上唇と歯ぐきを繋いでいる筋の部分)は、大人に比べて歯に近いところにあり、薄くデリケートです。前歯を磨く時は、歯ブラシがあたってしまわないように、指で上唇小帯を押さえてあげましょう。
  • 奥歯や歯の裏側、上下のかみ合わせの部分も、サッと汚れを落とすつもりでやさしくブラシを当てましょう。
  • 嫌がるからと仕上げ磨きをしないと、「歯は磨かなくていい」と思ってしまうこともあるので、しっかりとケアしてあげましょう。
  • 赤ちゃんが自分で使うものと、仕上げ磨きでお母さん・お父さんが使うものは、タイプの違うものを別で用意しましょう。

口腔機能不全症

「口腔機能不全症」とは、平成30年から保険に含まれた咀嚼・嚥下機能(噛む・飲み込む)、あるいは構音機能(言語活動の際に、思い通りの音を発生させるための機能)が十分に発達していない・正しく獲得できていない15歳未満の子どもが該当する症状です。

口腔機能不全症の原因として考えられるもの

乳児嚥下の残存
唇が開いたまま、舌が前に出た状態で飲み込みをしてしまうことによって、ガタガタの歯並びや、下の前歯が見えなくなる程深く噛み込んでしまう状態、出っ歯になりやすくなります。
口呼吸
口がぽかんと開いたままになる、唇が分厚くなるなどの症状の他、出っ歯になってしまったり、風邪を引きやすくなったり、または、舌が低い位置になることで気道が狭くなる等の状態になります。
低舌位置
舌が低い位置になることで、気道が狭くなり、呼吸が苦しくなります。また、睡眠時無呼吸症候群になる可能性が高くなる他、血中酸素飽和濃度が低下し、心臓や脳へのダメージがあります。